デンマーク語のタイトルは "Når vinden rejser sig"
|
コペンハーゲン市内で「風立ちぬ」を上映していて、先週見に行ってきました。日本での公開からは半年以上遅れているけど、こっちにいても観れるのは嬉しい!
デンマーク語タイトルは Når vinden rejser sig
表現が秀逸だなと思いました。「風立ちぬ」っていう言葉そのものと、その後ろにある雰囲気やイメージがちゃんと反映されてるんだなと思って。
というのも、わたし、映画を観る前に彼と「風立ちぬ」ってどういう意味なのか話していたんだけど、いまいちはっきりと説明できなくて。
「風が立つ」って「風が吹く」っていう意味だけど、ただ吹くだけじゃないしね。そして「ぬ」って否定形だよね、でも「風が吹かない」とイコールじゃないんだよね、だって「風立たぬ」じゃないから。 ・・・とか、そんな感じ。なんだか難しくて、意味が汲み取れないでいました。
デンマーク語タイトルをあえて日本語に直訳すると、「風が旅立つ時」みたいな感じ。「風が吹く」ではなくて「風が立つ」というイメージも醸し出してる。
なんか、日本語よりも何を言わんとしているかわかるっ!!半年以上勉強した甲斐があったじゃないか!!!と思わずニンマリしてしまいましたよ(笑)
帰宅してから調べてみたら、ここで使っている「ぬ」は否定形じゃないんですね。完了の助動詞「ぬ」ということで、タイトルの意味としては
風が立った(風が吹いた)
ということになるようです。(ああ、日本語文法難しい。)
でも「風が立った」という、文法的には完了の言葉をそのまま訳すのではなくて別の視点で見つめ直した感じの訳し方が素敵だなあと思った次第です。
この訳をした方は、ジブリ映画のデンマーク語翻訳を全てしている他、黒澤明監督の「7人の侍」や村上春樹の「ノルウェイの森」も翻訳された方だそうです。最近、魔女の宅急便の名シーン(*1)のデン語を録音して真似してみたりしている私にとっては、「あ、いつもお世話になっております」という感じ(^〜^*)
(*1) キキが飛べなくなって、ウルスラにアドバイスをもらっているシーン
ちなみに「風立ちぬ」の英語版はThe Wind Rises
これまた、単に風が吹くというだけじゃなくて「風が立つ」というイメージですね。
翻訳って奥深いわぁ。